岩手の少女、天国の母へ涙のトランペット

東日本大震災から1カ月後、津波に流された岩手県陸前高田市の自宅跡で、海に向かってトランペットを吹いていた少女がいた。アサヒコム5/20
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震災から70日たった20日、少女は東京オペラシティの舞台に立った。聴衆約1500人に披露したのは、あの時、天国の母らに捧げたZARD(ザード)の「負けないで」。

被災地で演奏する姿が朝日新聞(東京本社発行)に掲載された縁で招待された慈善コンサート「故郷(ふるさと)」。被災地出身のプロの音楽家らが企画した。

制服姿で舞台に立った岩手県立大船渡高校3年の佐々木瑠璃さん(17)は「負けないで」の後に「威風堂々」、そしてアンコールの「故郷」を吹いた。

 父の隆道(たかみち)さん(48)、弟の証道(しょうどう)さん(15)も見守った舞台。「故郷」では演奏に聴衆の合唱が加わり、被災地や天国へ届ける歌が会場を包み込んだ。
 「負けないで」の演奏中、何度か涙を拭った。舞台を退いた後も鳴りやまぬ拍手に再び壇上に上がると、こらえきれずに顔を覆って号泣した。
演奏後は募金箱を手に会場前に立った。すっかり涙は引き、笑顔で「お願いします」と呼びかけた。
トランペットは、津波で亡くなった祖母隆子(りゅうこ)さん(75)に、9歳のとき買ってもらった「宝物」。やはり津波で命を落とした母宜子さん(43)も音楽好きだった。
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 「こんなに大きなホールで演奏するなんて初めてだし、多分、一生に一度のこと。しかも、プロの演奏家の方たちに囲まれて……。でも、天国のお母さんやおばあちゃんがそばにいてくれるから心強い」
 今も時々、「受け入れたくない現実に押しつぶされそうになることがある」という。でも、吹奏楽部の仲間と一緒に楽器を吹けば気が紛れる。「トランペットって不思議。演奏する方も、聴く方も楽しい気持ちになれる。だから、趣味で一生、続けていきたい」
 「悲しくなったら、思い切り泣いていいんだよね」と励まし合う友人たちが「頑張って」と送り出してくれた舞台。「家族を亡くし、家を失い、これからどうやって生きていけばいいかわからない人がたくさんいる。コンサートをきっかけに、少しでも支援の輪が広がったらうれしい」
 開演前には記者会見に臨んだ。詰めかけた報道陣約20人、テレビカメラ6台を前に、佐々木さんは伏し目がちに、しかし、しっかりした口調で話した。
 15分間ほどで終わった後、「少しは東京でリラックスできそう?」と記者が声をかけた。「明日、震災で親を亡くして東京に引っ越した友人と会う約束をしているんです」。目尻を下げてほおを緩めた。
 どこにでもいる17歳の笑顔だった。(中川文如)



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佐々木瑠璃さんの姿を初めて拝見したのは4月初旬の静岡新聞でした。
津波で母と祖母を亡くされ、泣きじゃくる少女の姿に涙が溢れ、
活字が読めなかったことを今でもはっきり覚えています。
私の娘も吹奏楽部に在籍した時期があり、今も趣味として続けています。
瑠璃さんと同じく、楽器(サックス)を今は亡き祖父に買っていただきました。
楽器を吹く時は、必ず祖父を思うそうです。
音楽には不思議なパワーが宿ると聞きます。
きっときっと・・・
お母さんとおばあさんは、これから、いつでもどんな時でも傍にいてくださいます。
おふたりの分まで力強く歩んでくださいね。
by seiryouzan | 2011-06-07 17:44 | 復興支援