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光鏡院 境内の風景 お庫裡ブログ

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大本山總持寺 平成26年2月の伝道標語

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二月十五日はお釈迦様のご命日です。この日、お釈迦様は入滅され、涅槃に入られたのです。涅槃とは、完全な悟りの状態を意味します。

お釈迦さまの最後のお姿は、原始仏典の『大般涅槃経』に詳しく説かれています。仏典によると、齢八〇になられたお釈迦様は、最後の説法のため侍者阿難尊者とともに、生まれ故郷ルンビニに向けて旅に出られます。その旅の途中体調を崩され、ついにクシナガラで入滅を迎えられたと伝えられています。入滅のご様子を伝えるものとして、現在私たちが身近に接することができるものとしては、涅槃図があります。世の無常を暗示する真っ白な花を咲かせた、二本の沙羅の木のあいだに、お釈迦様は静かに横たわっておられます。そのかたわら、お弟子たち、信者たち、さまざまな動物そして天神天人に至るまで、皆お釈迦様の入滅を嘆き悲しんでおります。対照的にお釈迦様は、少し薄眼をあけられた様子で、あたかもやさしく微笑んでおられるかのようです。この時、お釈迦様は、決して亡くなられてしまったわけではなく、完全なお悟りの境地に入られたのです。





『大般涅槃経』には、お釈迦様の最後のご説法として、有名な「自灯明、法灯明」の教えが説かれています。お釈迦様は、不安におののくお弟子たちに対して、「これからは、自らをたよりとして、また私の教え(法)をたよりとして修行に努めなさい」と御遺言なされました。ご自分のお弟子たちを信頼しきった、なんとお優しいお言葉でしょうか。お弟子たちは、このお言葉によって、すべての不安から解放され、心の中に、お釈迦様の命の灯をともすことができました。人間の心は、決して強いものではありません。一人ではきっと心がくじけてしまいます。でも、自分が心から信じた人の命が、心の中にいつまでも生きていたら、どんなにくじけそうな時でも希望を持って強く生きることができるのではないでしょうか。お釈迦様の命の灯は脈々と伝えられ、今日も変わらず人々の心の闇を照らし続けています。

人類は、決して、この尊い灯を消してはいけません。お通夜で読経されることの多い『遺教経』には、「私の入滅ののちに、多くの弟子たちが次々とこの教えを、実践し伝えていけば、ほんとうの私は、いつもこの世にいて、消え去ってしまうことはないのだ。(意訳)」とお釈迦様のみ教え(法)を日々実践し、伝えていくことの大切さが説かれています。

標題のお言葉は、瑩山禅師の主著『伝光録』首章の一節です。禅師は『伝光録』によって、お釈迦様の正しい教えが伝わっていく有様を明らかにされました。このお言葉の意味は「人々の本心はお釈迦様のお悟りの心そのものである、それゆえお釈迦様と人々とは一心同体なのである」です。禅師はこのお言葉を通じて、「私たちが、もしお釈迦様の御教えを信じて、実践していくならば、いつでもお釈迦さまはあなたの中にいてくださっているのですよ」とおっしゃりたかったのだと思います。

大本山總持寺では、二月一日から十四日まで、大祖堂に巨大な涅槃図を掲げ、お釈迦さまを偲び毎日『遺教経』を読経し供養します。そして十五日には、涅槃図を仏殿に掲げ、午前中、涅槃会を行います。荘厳な仏殿で仰ぐお釈迦様は、二五〇〇年前のインドで人々に御説法なさっていたお姿そのもののようで、私たちの心に新たな灯をともしてくれます。

平成26年2月 (茨城県龍心寺住職 花和浩明)
by seiryouzan | 2014-02-16 17:11 | 大本山總持寺今月の伝道標語